子どもたちと過ごす毎日は、息をつく暇もなくて。
怒ってしまう自分が嫌になる日もあって。
散らかった部屋を見てため息が出ることもあって。
それでも私は、毎日カメラを向け続けてきました。
たったひとつの理由──
「子どもたちの“今”を、忘れたくなかった」から。

365日。
気がつけば4年分の“今”が、静かに積み重なっていました。
振り返ってみて胸が震えました。
当時は必死すぎて気づけなかった“温度”が、写真の中にはちゃんと残っていたから。
怒った声も、泣き声も、笑い声も。
小さな手が私を求めて伸びていたことも。
「ママ見て!」と何度も呼んでくれたあの声も。
あの忙しすぎた毎日は、
実はこんなにも愛おしい時間だったんだ──
写真がそっと教えてくれました。

今年の展示では、「いまの我が家を残したい」という気持ちを軸に写真を選びました。
三兄弟と生きる毎日は賑やかで、混沌としていて、
涙が出る日もあるし、笑い転げる日もある。
怒ってばかりの自分に落ち込む日もあるけれど、
それでも心のどこかで分かっている。
──いつか、今日を恋しく思う日が来ることを。
だからこそ、今年の“今”とまっすぐ向き合いました。

写真を選ぶとき、いろいろなテーマが浮かびました。
「男子の面白写真シリーズもいいな」
「子どもたちとおばあちゃんの記録も捨てがたい」
でも仲間と話す中で、はっきり分かったのです。
いまいちばん残したいのは、“三兄弟の関係性”。
長男は三男にとても優しくて、
周りの空気も少しずつ理解してくれる存在。
自分の時間も大事にするマイペースな子。
次男はその間で揺れながら、
厳しくする日もあれば、守ろうとする日もある。
「お兄ちゃんになりきれない今」が、たまらなく愛おしい。
その奥には “ママを独り占めしたい気持ち” があることも知っている。
三男はただひたすら今を全力で生きていて、
笑って、泣いて、走って、甘えて。
そのまっすぐさが家族の空気まで動かしてしまう。
三人は違う気持ちを抱えながら、
喧嘩して、泣いて、笑って、仲直りしていく。
その繰り返しこそが、
“兄弟として生きている”ということ。
だから展示する写真には三人を写しました。
この時期の三人の関係性は、いましか残せないから。

日常の写真は、撮った瞬間にはただの“今日の記録”。
でも時間が経つほど、未来の私を静かに支えてくれる存在になっていく。
写真に向き合っていると、
ときどき 胸の奥でそっとわかる瞬間 が訪れる。
「あぁ、私はちゃんと、この毎日と向き合ってきたんだ──。」
積み重ねてきたのは、ただの日常ではなく、
確かに “生きてきた証” だったのだと、写真が教えてくれる。
フォトグラファーとして日常の尊さを知っていたつもりだったけれど、
自分の写真を見つめ直して、
“日常って、やっぱりいいな” と改めて感じました。
今日も、明日も、変わらないようで少しずつ変わっていく日々。
その一瞬一瞬を、これからも撮り続けていこうと思います。

日々の暮らしの中で生まれる
小さな“いま”を写した写真展
『今日も、明日も』
「紡ぐ365project」有志28名によるグループ展です。
三兄弟の“今”をまっすぐに写した作品を展示します。
日程: 2025年12月10日(水)〜14日(日)
時間: 13:00〜19:00(最終日は18:00まで)
入場: 無料
場所: GALLERY PIENI ONNI (岐阜市清住町2-4-2 大一グリーンビル 1F)
主催: 紡ぐ365project
お近くに行かれる方は、
立ち寄っていただけたら嬉しいです。